流れる星は月に隠れ塔に消える

星は希望。月は幻惑。塔は破綻。

他人の視線

自分は一人っ子で兄弟姉妹がいるわけでもないし家では一人で風呂に入る生活だった。

学校でも合宿とかを活発に行う部活にいたこともなく、みんなで大浴場に風呂に入るという事がほとんどなかった。

 

自分の肉体の色や部位、肉の付き方等何一つにおいても自信がなく例え同性であっても見られたくないと思っていた。

たまにホテル等に行って三点ユニットの部屋付きの風呂と大浴場の選択肢がある時、状況が許す限り部屋付きの風呂で済ませていた。

 

ただここ数年間、寮に入り大浴場のみという選択肢のない生活となり、毎日身近な人ともお互いの裸を何度も見せ合う生活となった。

色とかについても当然、言及される。それについては今でも嫌だけれども慣れというか諦めが出てきた。

 

そんな他人に裸を見られる事に慣れたある日。

旅行でホテルに泊まった時、そこは三点ユニットの部屋付きの風呂と大浴場の両方があるホテルだった。

そこで自分は三点ユニットだと狭いし身体も洗いづらいからと迷いなく大浴場を選び、大浴場から部屋へ戻ってきてふと気付いた。

過去の自分なら狭さより他人の視線を考えて、三点ユニットを選んでいたのに、今は湯船に浸かるわけではないけれど洗い場の使いやすさで大浴場を選ぶという、選択の変化に。

他人の視線に対する耐性みたいなものが身に付いた故の選択の変化だなと思うけれど、他人の視線を受けない生活がまた続いたら、また他人の視線を避ける選択をするようになるのか。

 

それにしても他人に興味ないのに他人からの自分の裸に対する視線は気になるというのは何なのでしょうね。