流れる星は月に隠れ塔に消える

星は希望。月は幻惑。塔は破綻。

大学の中退

別に自分が中退をした訳ではないけれども、思うところがあったので記事を書き始めた。

現在、自分の比較的身近には大学を中退した人が三人いる。彼らをA、B、Cとしてそれぞれ彼らの今を見て聞いて思うところをまとめた。

 

まずAの話。

Aは大学を中退して、その後就職をして働き結婚をしていて、おおよそ一般的と言える社会生活を送っている。年齢は30代前半。

そのAは話していると事あるごとに「君は自分と違って大学を出ているから大丈夫だよ」と言う。

正直Aの言いたい事はまだ自分にはわからない。ただ劣等感を持っているんだろうなとは感じている。Aは自分の卒業した大学より所謂レベルの高いところに通っていた。何でそこへ通っていたのかは知らないけれども、中退した理由の片鱗は聞いている。その片鱗は確かに底辺とも呼べる事かもしれないけど、それが全てとも思えない。

またAは時々「通い続けて卒業すればよかったなぁ」とも言う。「だけどやっぱり無理だったな、限界だったな」という言葉とセットにして。

世の中で多く使われる物差しで言えば、高卒より大卒の方がいいとされている。ただ自分から見れば軌道に乗った一般的な社会生活を送っているAが何を後悔しているのかわからない。大学に途中まで通ったけれども結果に何も残っていないという面から見た時間と金の損失を嘆いているのか、それともまた別の事なのか。

 

次にBの話。

Bはまず大学に入る時に一年浪人して入った。奨学金を受けて通っていたがその後中退して、とりあえずインターネットを利用した自営業をしている。ただその収入は200万を切っていると言っていたし、まだ働いている両親とともに生活をしていてその収入を頼りにして生きている部分があるようだし、彼らが退職をした時、亡くなった時にBがどうなるのかはわからない。所謂フリーターと言える存在なのだろうと思う。年齢は20代前半。

Bも自分よりレベルが高いところに通っていた。最初の頃は普通に通っていたようだが、期が進むにつれて単位を多く落とすようになり、気づいたら休学をし退学をしていた。具体的なきっかけ、理由がなくて、なんとなくやめたように見える。

Bは中退した事についてあんまり触れない。肯定する発言も否定(後悔)するような発言もほぼ自分の記憶にない。触れたくないというより何にも感じてないから触れないように自分は感じている。自分の勘違いなのかもしれないけど。

自分はお節介にも将来について聞いてみた事がある。ただBにもあまりビジョンがないようで自分の納得のいく答えはなかった。

 

最後にCの話。

Cは大学を中退しているが結婚をし、家事を中心に在宅でできる若干のアルバイトをして自分の小遣い稼ぎをしている。基本的に引きこもっているようで社会的に見れば例の多い立場なのかもしれないけど、あんまり社会生活を送っているというふうでもない。年齢は20代前半。

Cは大学生の時は昼間は奨学金を受けながら大学に通い、夜は生活費を稼ぎ、大学の課題を終えてまた大学に行くというあまり睡眠時間の取れてない生活をしていたらしい。その生活に限界を感じて大学へ通うのをやめたそうだ。

Cは「また大学に通いたいとは思わない」と言っており特に後悔はしてなさそうだし、「それでよかった」と思っているのだろう。

ただCは友達に高校を中退した最終学歴中卒の人がいる。その人がいるから「それよりはマシ」という思いがあるようで、その人が高認を取って大学へ通おうとしている話には「焦りを感じる」らしい。

自分が見る限りだとCは配偶者の収入で問題なく生活していけそうだし、就職しないなら高卒でも大卒でも関係ない生活を送っていくんじゃないのかなと思う。

 

三人を見てて思ったのが、社会生活にどっぷりと浸かる方が大学の中退は後悔するのかなと、あまり社会に触れなければ大学の中退も関係ないのかなと思っていた。そういう結論で記事を締めようかなと思って書いていた。

ただこうして今、この記事を書いていて一番はっきりと後悔を感じるA一人だけは十歳程多く歳をくっていて、それだけの人生の差なのかなとも思い始めた。10年後にはBもCも後悔の言葉を漏らすようになっているのかもしれないし、なっていないのかもしれない。

自分の体験談ではなく普段、他人と話して見て聞いての自分の感じた事の記事であり、大学の中退について記事にしようと思って取材をしたわけでもない。

正直、自分にはもう過ぎた選択の話で当時中退したいと思ったかどうか忘れているくらいでそのバイアスがあるかもしれないけど、誰かの中退の是非について発言する立場でもないし、個々の事情についても知らないからどっちの方がいいと結論付けるつもりはない。

ただ、浪人はよく皆がしていて、それによって消費した時間や社会における立場はあんまり人生に大きく影響をしないのかなと思っている。それに対して中退はそれによって最終学歴が強く印象付けられ、その選択をした次の瞬間にはもう勤労の義務を果たさねばならない、就職時に初任給で高卒、大卒で別に設定されている企業が多く、またすぐに就職をしたとしてもしなかったとしてもその後の時間や金の都合によって通い直し含めた選択の修正はかなり難しいのかなと思っている。

必要な人の目に届くかわからないけれども数少ない例でも少しは参考にしてもらえたらうれしい。

 

大学の中退について考えていたら自分の進学生活について思うところが湧いてきたけれども中退とは関係ないので、時間があってその気持ちがまた湧いた時にそれについては別記事を書こうかと思う。